
技能五輪指導で「技術の伝承」
難しい電気知識を紐解く面白さを伝える

株式会社きんでん
人材開発部 一般工事教育チーム
副長
- 第三種電気主任技術者(2016年度)
- 第一種電気工事士(2011年度)
- 第二種電気工事士(2003年度)
※内容は2024年6月時点のものです
青年技能者の各職種技能レベル日本一を競う大会「技能五輪」の電工職種に出場する、当社選手の育成と、工業高校等への出前授業を担当しています。
選手育成については、当社の教育施設「きんでん学園」を拠点に、社内から選抜された選手候補生を指導しています。競技課題の実技指導を主とし、座学指導も実施しています。
高校への出前授業については、高校生ものづくりコンテストの実技指導や電気工事士の資格取得研修を行っています。
工業高校の電気科に在籍中に、電気工事士の資格を取得しようと考え、高校2年時に第二種電気工事士を取得しました。また第一種電気工事士は、当社入社後に取得しました。
電気主任技術者(以下、電験)は「技能五輪」の選手を引退し指導員になった際、指導員内で取得の機運が高まり、自己研鑽のため電験三種の資格取得に挑戦しました。科目合格制度を活用して、3年かけて全科目合格し取得しました。
電験の資格試験の広範な出題範囲に苦労しました。1年目の受験で、電気理論の理解が浅いまま理論科目に合格してしまったので、改めて過去問を何度も解くことで公式の成り立ちや、「なぜそうなるのか」を理解し、残りの科目の学習を進めました。
また、社内の「電験塾」を活用しました。「電験塾」では、実物のモーターを見せてもらいながら解説を聞けたことで、機械科目の理解を深めることができ資格取得に繋がったと思います。ただ、勉強時間の確保には苦労しました。
一つの問題に対してただ公式を覚えるだけではなく、問題自体を理解する必要があると痛感しました。後進の指導においても、指導内容をそのまま覚えるのではなく、理由を探してもらうように努めています。
高校時代に「高校生ものづくりコンテスト」に出場したことはありましたが、「技能五輪」の存在は入社後に知りました。その後、当社内で「技能五輪」配管職種に出場する選手の訓練を見学した際、日本一や世界一を目指すことが出来ることに強い興味を抱き、挑戦を決意しました。
「技能五輪全国大会」への挑戦回数は計3回で、3回目の出場で優勝し、隔年で開催される国際大会へ出場しました。国際大会へ出場可能なのは生涯1回のみで、前回大会の2007年・静岡大会で当社の先輩社員が電工職種で優勝したこともあり緊張しましたが、21年ぶりとなる連覇を達成する事ができました。
優勝後は別部署の方にも声を掛けてもらえる機会が増え、社内での繋がりが増えたと実感しています。
指導員に転身した直後は、自分の感覚で指導してしまい「どうして伝わらないんだ」と悩むことが多かったです。しかし電験三種の受験勉強を通じて、教え子たちに「ただ伝えて終わる」だけではなく、「相手に理解してもらう」必要があると実感し、相手に合わせてわかるまで教えるようにしました。
教え子が技能五輪に出場し好成績を残すことはもちろん嬉しいですが、指導を終えた子たちが各現場で活躍している姿を見ることも嬉しいですし、やりがいになっています。「技能五輪」は一発勝負の世界なので、技術だけでなく、人間力や精神力を問われます。そのために当社ではメンタルトレーニングを実施したり、人間教育にも力を入れています。人間教育に携わることができることも、今の仕事の大きなやりがいです。
また出前授業をした高校生が卒業後、当社に入社して「技能五輪」の選手となり、私がその指導に関与したのち、各現場に巣立っていく姿を見た時は、「技術の伝承」が出来たのではないかと思っています。
日本一、世界一の選手を育成することも目標ですが、指導だけではなく自分自身のスキルも磨いていきたいです。電験の上位資格である電験二種や技術士二次試験(電気電子部門)の合格を目標にしています。
電気は「幅が広い」ものだと思います。目に見えないものゆえに難しくもありますが、電気の知識は勉強すればするほど増えるのが楽しさであり、面白さです。私は難しいからこそ、上を目指す意味があると思っています。そんな難しい電気を少しずつ紐解くのが、電気の面白さではないでしょうか。もちろん、社会インフラを守る使命を感じられるのも、この仕事の魅力であり、誇りであると実感しています。