会津電業株式会社 菊地 憲幸さん・井口 輝子 さん
令和6年度

多くの外国人材が活躍中
自ら現地で採用面接することが重要

会津電業株式会社 菊地 憲幸さん・井口 輝子 さん
会津電業株式会社 菊地 憲幸さん・井口 輝子 さん
会社情報
人物紹介
  • 菊地 憲幸 さん(写真右)代表取締役
  • 井口 輝子 さん(写真左)総務部 部長

※内容は2024年6月時点のものです

21世紀の現代では、多くの業界でグローバル化・ボーダーレス化が進んでいる。日本から海外の現場で活躍する人材や、海外の人材が日本を目指し多く来日するなど、人材の多様性・流動性が急速に高まっている。それは電気業界においても同様だ。
各業界で幅広く活躍する電気技術者個人を取り上げてきた「活躍する電気技術者たち」では、今回新たに「外国人人材を電気技術者として採用し活躍する企業」など、新たな取組を展開する企業をピックアップ。多様な人材や働き方を紹介する。
会津電業株式会社は、約10年前から様々なルートで外国人材の積極採用を進めている。菊地憲幸社長、井口輝子総務部長に外国人材の採用法や、受け入れの心構えなどを聞いた。

現在在籍中の外国人電気技術者の状況は。

弊社には6名の外国人電気技術者が在籍しています。うち3名がミャンマー人で高度外国人材の「技術・人文知識・国際業務(技人国)」として、1名のフィリピン人が「特定技能1号」として現場で活躍中です。また、本年4月から2名の新入社員(ミャンマー人、ベトナム人)が入社し、現在新人研修中です。

外国人電気技術者の現在の仕事内容について。

技人国の3名は、現場代理人および主任技術者として各工事現場に携わっています。ほかには、工事の段取りなどの管理業務やCADでの図面作成、お客様との打ち合わせも行っています。
特定技能の1名は、施工の現場で活躍中です。また弊社は米軍関係の仕事も請負っておりますが、その際の通訳業務においても活躍しています。

外国人電気技術者の採用を始められた経緯は。

異業種の知人経営者が、技能実習生で外国人材を採用していることを聞いたのがきっかけです。その後実際に採用を検討し、2014年6月にミャンマー現地で面接し、2015年に技能実習生として3名を採用しました。
技能実習生は実習期間終了後、母国に「技術移転」を行う必要がありまして、技術移転終了の1年後に再度技人国として採用しました。技能実習生の受入機関や建設技能人材機構(JAC)、外国人向けの就職フェアなど様々なチャネルを通じ採用活動を行っています。

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外国人電気技術者を採用する上での苦労、あるいはメリットについて教えて下さい。

ミャンマーで採用したのは3名でした。当時は3名とも日本語がわからず、コミュニケーションが難しく大変でした。そこで「会社の中では日本語のみを使う」ことをルールとしました。外国人と日本人の溝を作りたくなかったからです。一方彼らは3名で共同生活を送っていましたので、孤独になることはありませんでした。外国人を採用する際はできる限り複数名採用することがポイントだと思います。
一方で外国人は稼ぎたい方が多く、土日も積極的に働いてくれます。ともに働くことで外国人に対する壁や偏見もなくなりました。また人材としても優秀で、技人国で採用した弊社のチョー ミン コーは第一種電気工事士と1級電気工事施工管理技士を、前述のミャンマー人新入社員はすでに第二種電気工事士の筆記試験に合格し、実技試験の合格を目指しています。

ここで実際に技人国として入社し現場で活躍中の、同社チョー ミン コーさん(写真)にもお話を伺おうと思います。入社の経緯についてお聞かせ下さい。

私は現在、電気工事部施工管理課に所属して、施工管理業務を担当しています。母国のミャンマーでは、もともと大学で電気を勉強していたので、将来は電気関連の職業を目指していました。ちょうどその時、弊社の菊地社長がミャンマーで技能実習生の面接をしていたので、面接の上、入社しました。一旦技術移転でミャンマーに帰国後、再度技人国扱いで入社して現在に至ります。

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今後の目標はありますか。

将来は日本語が話せることで、ミャンマーに進出している日本法人の現地工場でメンテナンスなどに携わりたい気持ちもあります。しかし、今のところは当社でさらなる技術や資格を取得してスキルアップしたい気持ちのほうが強いです。

最後に会社として今後の目標と、外国人の採用を検討している会社にアドバイスをお聞かせ下さい。

会社としては、もう少し外国人材の採用を進めたいですね。技人国のメンバーが現場施工のような単純作業に従事できないので、現場職人作業の出来る外国人材が欲しいです。特に英語を使えるフィリピン系の人材は、前述の通り米軍関係と取引する際の通訳業務としても活躍できるので、注目しています。
これから外国人材の導入を検討している会社へのアドバイスは、「必ず現地に行って採用面接を社長自ら行う」ことが大事です。「外国の人材なら誰でもいい」という考えは必ずトラブルのもとになります。日本の受入機関や当該国の送り出し機関任せにするのではなく、最後は社長自らが面接に赴いて面接時や面接前の待機中の態度、就業意欲などをチェックすることが重要です。なぜなら、受入後は人と人の付き合いになるし、ミスマッチが起こったからと言って、おいそれと帰国させるわけにはいかないからです。逆に、しっかりと自分自身で面接をしたうえで選んだ外国人材は、会社や社長に対して恩義を感じてくれ、一生懸命働いてくれます。そうすると、日本人従業員にもいい影響を与え、結果会社全体に好影響を与えてくれます。
ただし、外国人材は「いずれは母国に帰るものだ」という考え方を持つことも大事です(菊地社長)。あくまで期間限定の社員でありながらも、長く自社で働き続けてもらえるよう会社として努力する。日本の技術を身につければ、どの国でも通用すると思います。

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