

ノーブル電子工業株式会社
製造2部フィールドサービス1グループマネージャー
※内容は2021年11月時点のものです
弊社は、ビル空調のオートメーション化をする為の自動制御盤の設計・製造・メンテナンスまた、生産ラインの自動制御盤の設計・製造・メンテナンスなどを行っています。私はその中でもビル空調の設置工事や管理、メンテナンス業務を中心に携わっています。2019年からは、会社が工場などの大規模施設で使う高圧受電設備(キュービクル)の設置工事や管理・メンテナンス事業に参入したため、ビル空調の業務に従事しながら、高圧受電設備に関する業務にも携わっています。
高圧受電設備の更新及び盤内機器更新、新設ケーブルの引き込み工事、気中負荷開閉器や避雷器の電気配線をしたり、電気主任技術者の監督のもと管理(定期点検)などを行っています。高圧の電力の現場は危険性が高く、受電設備は高い安全性を担保する必要があるため受電設備を構成する機器の種類や特徴を理解しなければなりません。キュービクル内の配電盤から各所に設置している分電盤への配線は、通常、ケーブルで行いますが、ケーブルをキズつけないように慎重な作業を心がけます。少しのキズが火災の原因になるからです。
高圧設備の管理(定期点検)やメンテナンス事業が中心の会社の方々に現場でご指導を頂きました。あらためて気中負荷開閉器や避雷器、変圧器の仕組み、高圧受電設備の事故防止など多くのことを学びました。この時、新たな法律用語や部品の名前などが出てきましたが、電気工事士試験に向けて勉強していたときに学んだことが大いに役に立ちました。
様々な高圧受電設備の現場で作業をします。現場での高圧受電設備の電気配線やメンテナンス作業の規模にもよりますが約3ヶ月間、1カ所の現場に滞在することもあります。そして別の現場での管理(定期点検)に移動しますが、期限が決まっている中で、工程に遅れがなく順調に進んでいるか気を配っています。最も大事なことは事前の打ち合わせで、作業手順を決めることと工程管理です。作業当日、他の工程に携わる業者さんと作業日が同じことも多々ありますが、各社が効率よく作業をする上で、各工事会社とのコミュニケーションも現場では欠かせません。
高校を卒業し専門学校の電子技術科に入学しました。中学時代に技術の授業でラジオ製作と非常用電灯を作ったとき、電子部品や基盤に興味を持ち、電子分野への進路を考えました。父親が自動車会社の製造部門で働いていたこともあり小さい時から物づくりには興味がありました。その中でも電気の道に進んで今は良かったと思います。
2011年に起きた東日本大震災です。福島県の火力発電所の制御盤が津波により浸水しました。水没機器の交換の手配をしましたが製品の到着が遅れ、設置の為の部品もなく作業員も足りないという状況でした。復旧を待ち望んでいる人も多く、時間との闘いでした。部品が届き無事、何とか設置し完成したときは嬉しかったです。震災後、多くの方が、生活に不可欠な電気・ガス・水道などが止まり不自由な生活を強いられました。電気がつかないので真っ暗、テレビも観れず携帯電話の充電も出来ません。あらためて電気は必要不可欠であると感じたことで電気に携わる者として、より一層真剣に取り組み、社会インフラの役に立つことを誇りに思いながら仕事をしています。
安全性が進化し部品は増え、仕組みも進化しました。点検先で、約30年前の高圧設備のメンテナンスの仕事をした時のことですが、資格取得の勉強で、高圧の仕組みや部品の働きなどを学んだおかげで新設ケーブルの引き込み工事を何とか進めることが出来ました。電気工事士として古い機器のメンテナンスに関しては、参考とする書籍も少なく、難しいのですが、取得のための勉強で幅広く電気設備の仕組みなどの基礎を学んだおかげで、技術の面では、他の作業員に説明出来るだけの知識と理解力がつき解決することが出来ました。あらためて基本がわからないと応用が利かず間違うこともあると思います。
私は、仕事が終わったあとは疲れて勉強できないので、朝、早く起きて電気工事士試験の勉強をしました。朝の勉強は集中する事ができました。毎日、こつこつと勉強することも大切です。実際に仕事をするようになって試験勉強で学んだ知識や理論がとても役立っています。電気は世の中からなくならないですし、電気の世界は、電子、通信から高電圧分野まで幅広くすべて繋がっています。知識も広がり、無駄にはなりません。現場では若い人にも資格取得を勧めています。今後は、仕事や人生の選択肢を広げる意味で電気主任技術者を目指したいと思います。