

東陽電気工事株式会社
代表取締役
※内容は2022年12月時点のものです
福島県にある東陽電気工事株式会社の代表取締役として、協力会社との打ち合わせや従業員の労務管理、経理業務を担当するとともに、工事現場にも足を運び業務の指示や従業員とのコミュニケーションを取っています。
大学卒業後、福島県郡山市で別業種に就いていましたが、前社長の父が体調を崩したのを機に、次期社長就任を前提に中途入社しました。しかし前職が畑違いの仕事だったので、この業界のことが全くわからなく従業員との距離が一向に縮まらず、取引先の会社にも現場で「(資格もなく)あなたでは話にならないので帰ってくれ」と言われるなど、苦しい思いをしました。
そこで資格を取得すれば従業員や取引先との距離が縮まるのではと考え、電気工事士の資格に挑戦しました。まず第二種電気工事士(電工二種)に挑戦し、合否を待たずに第一種電気工事士(電工一種)に挑戦しました。結果として両者とも1回で合格し、電工一種に関しては実務経験を経て取得しました。
電気の知識がゼロの状態から始めたので、PF管とCD管の名前やケーブルと電線の違いなど、材料や実技試験で使う工具の名前、専門用語を覚えることが大変でした。電工二種のテキストを見ても最初は全くわからないため、従業員に頭を下げて教えてもらい、実技は終業後毎日2~3時間、学科も過去問を徹底的に反復学習して覚えるようにしました。
現場での指示がより具体的に出来るようになったのもありますが、何よりも従業員との距離が縮まりました。従業員には終業後だけでなく土日もつきっきりで教えてもらいました。最初は相手にしてもらえなかった従業員も、資格勉強をするうちに段々と見る目が変わり、対等な立場で話すことが出来るようになりました。
また、「資格ありき」で話の進む協力会社や同業他社の経営者にも、同じ土俵で話をしてもらえるようになりました。結果として資格取得が仕事の幅を広げられたと思います。
家業を継ぐことが従業員への恩返しになるという思いが第一で、業種は関係なかったのが正直なところです。しかしながら、父親が大事にしていたものを大事にしたい、従業員や地域に恩返しをしたいという思いもあり、入社しました。
昨今の働き方改革の影響もあり、従業員のワークライフバランスと実際の現場の進み具合に折り合いをつけることなどは苦労しています。また、弊社人材の中核を担っている介護世代や更年期世代の課題も多く感じています。更年期障害は女性だけではなく男性にもあり、イライラや体調不良などを理解し、言い出せる環境づくりに取り組みました。
従業員が成長したと感じる瞬間は本当に嬉しく、やりがいを感じます。
個人のお客様を中心に女性技術者を指名するニーズが高まっています。特にエアコンや火災報知器といったプライベート空間の工事では、業界的に女性技術者の指名が多いです。さらに、女性技術者は比較的作業や書類のきめ細かさがあるのではと感じています。難しい現場ほど女性を代理人にするとスムーズに進むことが多いと実感しています。
まだまだ取りたい資格があるので挑戦していきたいと思います。その中でも第三種電気主任技術者(電験三種)は取得を目指している資格の一つです。
会社としては本業の電気工事に加え、人材育成に力を入れたいと考えています。成長には失敗と現場での経験が不可欠ですが、現場には若手の人材にじっくり教える余裕が無いのが実情です。そこで自社内に研修棟を作り、「安心して失敗できる環境」を設けました。さらに土日などに技能試験の対策講座を開設し、他社にも門戸を開いています。他にも地元工業高校の課外授業の支援にお伺いしており、実際来年春の入社内定者のうち複数名がこの課外授業をきっかけに弊社に入社を決意してくれました。
「手に職」とよく言いますが、資格を取り現場でしっかり学べば、電気工事は高齢でも働ける、一生の仕事になります。特に電工二種は、国家資格の中でも取得のハードルが低い資格だと思います。出来れば学生時代に取得すると、未来の進路が大きく広がるので、オススメです。人生100年時代に突入する中、好きな仕事を思いっきり楽しみましょう!