花川 龍巳 さん
令和4年度

電気技術者育成のため
地域に無くてはならない高等学校を目指す

花川 龍巳 さん
花川 龍巳 さん

富山県立高岡工芸高等学校

電気科・科長

保有資格
  • 第三種電気主任技術者(2005年度)
  • 第一種電気工事士(2008年度)
  • 第二種電気工事士(1992年度)

※内容は2022年8月時点のものです

現在の仕事内容を教えてください。

現在、富山県の高岡市にある高岡工芸高等学校で電気科の教師をしています。また、電気科の科長として教科のカリキュラム作りや実験実習の計画、各種資格取得、進路指導などに携わり、発電所見学や企業での体験実習など校外学習の計画も立てています。部活動(電気工学部)の顧問も務めておりマイコンカーやロボット作りに生徒と一緒に取り組んでいます。資格取得に向けた指導については、電気工事士対策は試験日の3週間前から放課後1~2時間集中して行い、第三種電気主任技術者試験は始業時間前に毎日1時間の朝学習が基本で、夏休みには午後半日の勉強会をおこなっています。

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電気科の教師を志望したきっかけを教えてください。

小中学生の頃から、もの作りが好きで、模型やラジオなどの工作をよくしており、何となく将来はメーカーに勤めたいなと思っていました。ある日、工業高校の学園祭を見に行った時、様々な作品が展示してあり、中でも、実際に動くリニアモーターカーの模型に目がとまり、そこで先生と生徒が一緒になって作品に取り組んでいる様子を見て、自分が昔、経験したもの作りの楽しさを伝えることができる仕事として教師も魅力的だと感じ、大学卒業後、電気科の教職に就きました。

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第三種電気主任技術者、第一種および第二種電気工事士の資格取得の経緯を教えてください。

電気の職業系資格はいくつか知っていましたが、教師になる前は、アマチュア無線技士の資格しか持っていませんでした。教師になり電気科に配属になりましたが、配属された学校の先輩教師が「工業高校は、資格を取得して活かすのが本望。第二種電気工事士の資格取得は、社会に出て絶対に必要」と、ものすごい熱量で指導している様子を見て、教える側も資格取得を経験しないといけないと思い、第二種電気工事士の資格を取得しました。その後、上位の資格へと範囲が広がりました。

資格取得の上で、苦労したことは?

資格取得の上で、初めて勉強する分野も多く、いくつもの参考書に向き合いながら独学で勉強しました。特に法令と技術基準の項目である、法規はなかなか頭に入らず、覚えるのが大変でした。繰り返し勉強し苦労した分、生徒にはより分かり易く丁寧に指導するよう心がけています。また、勉強に取り組んでいた当時、電気工事士の技能試験では工具の扱い方など体で覚えなければいけないところもあって苦労しました。ナイフを使用する場合、力の入れどころが難しく何度も練習しました。今は道具も進歩し作業はし易くなりましたが、生徒にはどんな道具であっても常に安全で確実な作業をするよう言い聞かせながら指導しています。

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電気工事士以外に、第三種電気主任技術者(電験三種)の資格取得も指導し、合格者も輩出していますが電験三種の指導のポイントは?

過去問を含め多くの問題を解くことは大事ですが、公式などは、丸暗記ではなく、その意味を理解することが大切で、文章題では、図を描いて視覚化すれば解法が見えてくることなどを教えています。講義では補習ではなく勉強会と称し、教師の一方的な補習ではなく、なるべく生徒同士が教え合い切磋琢磨する学習環境になるよう指導しています。また、高校卒業までには必ず資格を一つ以上取得するように指導していますが、高校生活が資格の取得一色にはなってほしくないとも思っています。電験や電工の勉強会も部活動に重ならないよう日時を設定していますし、これまで勉強も部活も両立できた生徒が合格しています。

地元の保安協会と連携し電験講座を開設しているとのことですが、効果について教えてください。

北陸電気保安協会様では、絶縁耐力試験や保護継電器試験など学校にはない機材での実習や、電験三種試験に向けての座学をしていただいています。実際の受電設備を見学し点検作業をすることで、電気を扱う仕事の重要性を再認識するとともに資格取得へのモチベーションアップや進路選択の一助となっています。

仕事や資格に関する今後の目標は?

本校電気科は資格取得に力をいれ、電気工事士など多くの合格者を出してきました。近年、電験三種試験の合格者も出ていますが、やはり毎年複数人の合格者を出す学校にしたいと思います。中学生やその保護者さらに、地域の方も含め、高岡工芸高校は電気技術者の育成のために無くてはならない存在だと認めてもらうことを目標にしています。

資格取得を目指す方にアドバイスを。

資格取得で勉強した知識や経験は、社会に出て、必ず役に立ちます。資格取得は就職の面でも優位に働き、採用企業からも即戦力の人材として期待されます。

SDGsが掲げる目標の一つに「気候変動に具体的な対策を」があり、日本は2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指します。生徒たちは今後、産業を担い、生活を営む者として、地球温暖化対策に一層関わることになるでしょう。節電や省エネ、化石燃料から再生可能エネルギーへと電気の役割はますます重要になります。電気技術者としてその最前線で、サステナブルな未来をつくる一員として活躍することを期待しています。

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