

2015年度にスタートした「活躍する電気工事士・電気主任技術者(電気技術者活動実態調査)」では、電気技術者試験(電気主任技術者および電気工事士)に合格し、資格取得後さまざまな分野でご活躍する方々をインタビュー取材してきました。
今回、2015~2017年度に記事を掲載させていただいた皆様の中から3名をピックアップし、記事掲載からこれまでの間のお仕事内容の変化や、業務の幅の広がり、上位資格取得への取り組みなどについてフォローアップ調査を実施いたしましたのでご紹介します。
九州電力送配電株式会社 福岡支社電力部制御技術グループ
送電線や変電所など特別高圧(7000V 超)の工事を担当。大都市・福岡への電力供給拠点の一つである東福岡変電所増強工事では、メインとなる変圧器の新設工事を手がけた。
詳しくはこちら...設備を通して電力の安定供給を実現する。それが使命。
坂本さんは、2020年8月に現在所属する電力部制御技術グループに異動しました。同グループは、電力系統の設備を監視し、保護する「系統保護装置(システム)」の維持管理を担っています。「まだ異動したばかりですので、どの業務も新鮮で、やりがいがあると感じています」と坂本さん。日々多くのことを吸収できるよう心がけながら業務に取り組んでいるそうです。
前回調査時の保有資格は第3種電気主任技術者と第1種、第2種電気工事士でしたが、その後、2017年度には第2種電気主任技術者試験にも合格しました。上位資格に挑戦した理由は、「まだまだ経験したことのない業務が多くあると同時に、知識不足も感じていたから」だそうです。平日4時間、休日10時間を目標に机に向かいましたが、時間よりも、自分が納得・理解できるかどうかを重視して勉強に励みました。
実は現在も、第1種電気主任技術者試験に向けて勉強中だそうです。安全を第一に、電力の安定供給という責務を果たすべく、自身の知識とスキルを磨き続けています。
徳永機電工業
長崎県大村市を中心に、一般家庭など小規模な電気設備の工事や設計、施工に携わる。園芸農業が盛んな土地柄もあり、ハウス栽培施設の電気工事にも対応するなど地域に密着した事業を展開している。
詳しくはこちら...顔の見える地元のお客様と仕事をする喜び 地域で信頼される電気技術者を目指す
ハウス栽培施設関連では設備メンテナンスなどの依頼がしばしばあり、随時対応しています。最近では危険場所での防爆電気工事や、コロナ禍における換気設備等の仕事も新たに手掛けるなど、規模の大きな案件も増えてきているそうです。
電気工事の仕事には直接必要ないものの、第3種電気主任技術者の資格を持っていることで、「現場監督さんからも一目置かれ、意見もスムーズに聞いてもらえることがあり、持っていて良かった」とあらためて実感。今後はまず、第3種の資格を活用できる仕事を始め、経験を積んだ上で、第2種にチャレンジしたいとのことです。
後進の育成のため、地元の工業高校での出前授業などの活動も続けています。指導した生徒が電気工事の職に就くことも多く、現場などで会って声をかけてもらうこともあるそうです。企業に第2種電気工事士の実技指導で訪問することもあり、「合格の知らせを聞くとうれしく思うとともに、これからも多くの人に資格を取っていただけるように努力していきたいです」と話しています。
トーヨーカネツ株式会社 ソリューション
事業本部 制御部 制御グループ 参事
物流倉庫や配送センターなどで使用される自動倉庫設備の電気設計、工事などを行っている。資格取得で得た知識を生かし、安全かつ安定して荷物を保管・出荷するシステムの構築や、施工の安全性・品質向上に取り組む。
詳しくはこちら...自動倉庫設備の電気設計・工事で「物流」を支える
前回の取材後、所属するトーヨーカネツソリューションズ株式会社がグループのトーヨーカネツ株式会社と経営統合しました。坂巻さん自身の仕事は大きく変わってはいませんが、立場が管理職に変わりました。それに伴って担当する受注物件が倍増し、2人の部下とともに自動倉庫設備の電気設計、試運転調整、稼働後のサポートといった仕事に奔走しています。
今の部署には第3種電気主任技術者が坂巻さん一人のため、主任技術者の仕事も任されることがあり、資格の有用性を改めて実感するそうです。忙しい中ですが、次は第1種電気工事士の資格取得を検討中。「今の仕事に直結するわけではないですが、現場作業の指揮なども行う中で、高圧電気工事や接地工事の知識・技術を身に着ける必要性を感じました」。最近は会社としても資格取得に力を入れ、第2種電気工事士を取得する人や電気主任技術者試験を受ける人が増えており、坂巻さんも今までの経験を生かして色々とアドバイスしているとのことです。