

株式会社樋口電機(新潟県十日町市)
※内容は2021年3月時点のものです
地域の電気工事会社で働いています。小さな会社なので、家電販売の営業から、工事、施工管理、アフターサービスまで幅広く担当しています。主に戸建てや集合住宅を対象に、空調・給湯機器やアンテナの工事をはじめ、照明器具などの宅内配線工事、機器の修理が中心です。官公庁の入札案件にも参加し、公共施設の工事を手掛けることもあります。
何をするにも除雪作業を伴います。会社では朝6時から除雪を開始し、工事車両が出動できるようにします。現場に着くと、積雪のために駐車スペースが確保できず、除雪から始めることもあります。家屋に設備機器を搬入・搬出できるように、雪を取り除く作業を行う場合もあります。屋根の雪の撤去作業も多いですね。あまりにも積雪が多いと社屋の除雪だけで一日が終わり、作業できない日もあります。雪の威力はすさまじいものがあります。
冬は除雪作業なども考慮して工事のスケジュールを組みます。作業前日には現場確認もし、除雪もしますが、当日になって積雪状況が変化することがあり、思い通りにいかないことは多々あります。今冬は災害級の大雪に見舞われていることもあって、雪の重みで壁面に設置されているエアコンの室外機が落下したり、テレビ受信用アンテナが折れたりと、設備の不具合に関する仕事の依頼は例年よりも増えている状況です。お客さまのお困り事にしっかり対応していきたいですし、当然ながら作業安全には細心の注意を払わなければならないと思っています。
屋根上のUHFアンテナは雪害に対応した設計のものを用意するとともに、積雪の被害を受けにくく、受信良好な場所を選んで設置することをお客さまに提案します。また、この地域ではエアコンの室外機は積雪を考慮して床面ではなく、地上2.5メートル以上の建屋壁面に設置するのが普通です。室外機を覆う屋根を取り付け、室外機への積雪を防止する提案も行なっています。これによって室外機への落雪を防ぐことできるのに加え、暖房効果も高まります。
アフターサービスの一環として可能な範囲でお客さま訪問を行い、テレビやエアコン、給湯機など機器の調子を伺うようにしています。女性が相手だと気軽に話しやすいらしく、ちょっと気になっていたことでも教えていただけます。たまに調子が悪いというので、調べてみると、お客さまが気づかないうちに耐用年数が過ぎているケースがあります。壊れて使用できなくなる前に状態をお伝えできれば、修理や買い替え時期の参考になるのではないかと思います。
お客さまの奥さまにお会いする機会があり、「工事の際に家の部屋をきれいに清掃してくれて、主人がとても喜んでいたんですよ。工事内容も分かりやすく丁寧に説明してくれたのも良かったって。またよろしくお願いします」と褒めていただいたのはとてもうれしかったですし、この仕事をやっていてよかったと実感しました。
専門学校の電気工学科を卒業後、1999年4月に父が経営する会社に入社しました。第二種電気工事士の資格は、その年の10月に取得しました。家電営業が長く、エアコン取り付けなどの際に工事部の従業員に同行し、作業のお手伝いをしていました。10年ほど前、会社の経営が厳しくなった時期があり、営業経験を生かして住宅のリノベーション工事などの提案をしながら工事にも携わるようになりました。
約2年前、第一種電気工事士の資格に挑戦し、合格しました。実は理数系はとても苦手で、第二種の資格取得から長いブランクもあり、試験勉強は苦労しましたが、何とか筆記、技能とも1回で合格することができました。第一種の資格取得をきっかけの一つとして、現在は電柱の昇柱訓練や引込線工事作業訓練に取り組んでいます。
第二種の実技試験ではまさに一般住宅の配線が出てきます。仕事でも試験問題に答えるのと同様に、配線のレイアウトがわかっていれば混乱しませんし、現場に入ったときにもイメージがわきます。教則本で学んだ通りに仕事をしていれば、間違いないと思っています。第一種の方は第二種取得以来、久しぶりの受験でしたが、使用する工具や配線材料が変わっていて驚きました。電線の被覆をはがすワイヤーストリッパーが便利で、現場でも使っています。
地元の電気工事工業組合の青年部に入会してみて、とても女性が少ないという印象を持ちました。電気工事業界は女性でも男性でも肩を並べて協力しあえる業種だと感じています。まず女性同士で課題などについて話し合えるようにと、組合の協力を得て女性活躍推進ワーキンググループが発足しました。第1回会合では「資格試験の対策」などで情報共有することができました。今後に関しては企画案もいくつか出ているので、座長として取り組みを進めていきたいと思います。
電気工事の仕事に就くためには、資格は現場での技術とは別に必ず取得していなければなりません。私もまだまだチャレンジしたい資格があります。試験勉強は気力も体力も必要ですし、きついこともありますが目標達成に向けて頑張りましょう。