磯谷 洋之 さん
令和2年度

EV充電設備工事分野で成長目指す
市場拡大見据えノウハウ蓄積

磯谷 洋之 さん
磯谷 洋之 さん

大王電機株式会社(静岡市)

代表取締役

保有資格
  • 第一種電気工事士(2011年度)
  • 第二種電気工事士(1993年度)

※内容は2021年1月時点のものです

電気自動車(EV)向けの充電設備の工事を手掛けるきっかけを教えてください。

6年ほど前に仕事でお付き合いのあった会社の紹介で、自動車販売会社の店舗から依頼があり、EVを購入されたお客さまのご自宅に充電設備を設置する工事を請け負ったのが始まりです。その後も、EVを購入したお客さまからの依頼を受け、戸建て住宅を主な対象として工事に携わってきました。現在は日本車以外にも輸入車のEV向け工事も増えてきています。当社では、EV関係でこれまでに100件程度の工事を実施しました。

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工事の概要や特徴は何ですか?

仕事の流れとしては、現地調査から始まり、見積もりを経て、実際の工事へと進みます。EV用コンセントは、住宅の壁に取り付ける簡易的なタイプのほか、住宅と駐車場の距離が離れている場合に活用する自立ポール型、メーカーオプションと様々あり、現地の状況やお客さまの希望などを考慮して施工を行います。工事は、分電盤から専用回路で配線を引き、コンセントを取り付けるというのが基本です。施工の際は、お客さまのご自宅へ上がらせていただくので、建物などに傷を付けたりしないように注意を払っています。

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既設住宅での工事が多いようですが、その点で難しさはありますか?

建物の構造や電源を取る位置、お客さまの要望を踏まえて、どのように配線するかがポイントになります。仕上がりをきれいにするには、ケーブルが見えないように施工することです。そのためには、天井裏や床下、壁の中などを使って配線しますが、建物によってはそれらの場所にケーブルを通すことができないこともあります。プロの目で事前に構造をしっかりと把握しておくことが重要ですし、その点では仕事の起点となる現地調査は、最適な施工図を作成する上でも大切だと考えています。それに関しては電気工事全般でも言えることだと思います。

EVに搭載されるバッテリーの容量は増加傾向にあります。充電時間短縮のため、充電側の出力も増加が求められるのに伴い、ケーブル径も余裕を持って太くする必要があります。作業上の制約やご家庭の電気容量の変更、電気保安面も考慮しながら、お客さまの理解のもとで適切に対応していきたいと思います。

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印象に残っている現場はありますか?

敷地面積が広いところにお住まいの方から、家屋から離れた場所にEVを駐車したいとの要望がありました。そこで、分電盤のある家屋から駐車場までは地中にケーブルを敷設することにしました。土を掘る作業も当社で取り組み、なかなか大変でしたが、完工することができました。家の壁にコンセントを取り付けるケースが主流ですが、土地が広い地方ならではだと思います。お客さまに喜んでいただければ、難しい工事もやりがいがあります。

電気工事の仕事に就いた経緯を教えてください。

以前は静岡県内の病院に勤めていました。医療分野で働きたいと思い、専門学校に通って臨床工学技士の資格を取得し、病院で人工透析装置の操作業務に携わっていました。そこで5年ほど働いた後、父が電気工事会社を経営していることもあり、跡を継ぐために2009年に現在の会社に入社しました。分野は異なりますが、どちらも技術を必要とし、人と接する仕事ですので、根本は同じだと思っています。

医療分野と違うと感じるのは、現場で働く女性が少ないことでしょうか。電気工事の分野でも十分活躍できるはずですので、業界としてもっと広く仕事の魅力を伝えていく必要があると思っています。

入社後はどのようなお仕事をされましたか?

仕事で必要な第二種電気工事士の資格はすでに取得していました。当社は地域の電気工事会社として、戸建てや集合住宅をはじめ、官公庁、工場、店舗などを対象にしています。私もこれら様々な現場を経験しました。並行して第一種電気工事士資格の勉強も始めました。出題範囲が高圧分野に広がって苦労もありましたが、2012年1月に取得しました。

資格取得のために学んだ知識や技術が役立ったことはありますか?

昨年、静岡市にある学校の空調工事の仕事があり、受電設備増強の際に第一種の資格取得で学んだ高圧分野の知識が役に立ちました。高圧の工事を行うことは多くはありませんが、資格がなければ、取り扱うことができません。資格を持っていてよかったと実感しました。また、第一種の資格を目指す社員に対して、アドバイスすることもできるため、人材育成にも役立つと思っています。

今後の目標を教えてください。

地球温暖化防止の一環として、国内でも今後、EVの本格的な普及が期待されています。当社にとって、EV関係の仕事は新しい分野であり、比較的早い時期から充電設備の設置工事に取り組んできたことで、ノウハウや実績を蓄積してきました。こうした経験を生かし、地域の皆さまに選んでいただける会社になるよう、成長を続けていきたいと考えています。

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これから資格取得を目指す人に伝えたいことはありますか?

電気は生活に欠かせない、無くてはならないものです。停電して電気がつかない、機器の具合が悪い、新しいコンセントを増やしたいなど、電気に関わる仕事も無くなることはないと考えています。将来的に有望な電気工事の仕事に就くには、電気工事士の資格が必須です。第二種電気工事士からステップアップし、様々な資格に挑戦してみてはどうでしょうか。

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