松房 由佳 さん
令和2年度

女性限定かけつけサービスを展開
お客さまの安心と感謝の声にやりがい

松房 由佳 さん
松房 由佳 さん

有限会社松房電機(和歌山市)

保有資格
  • 第一種電気工事士(2015年度)
  • 第二種電気工事士(2007年度)

※内容は2020年9月時点のものです

地域で電気工事に関する新しいサービスを実施していると聞きました。どんな内容ですか?

一人暮らしやシングルマザーなどの女性宅に女性スタッフがかけつけて対応するサービスです。テレビが映らない、エアコンが効かない、ブレーカーが落ちるなど電気に関するお困りごとが発生し、どうしたらいいか分からない時やお急ぎの時に、まずは連絡していただきます。ご自宅に伺って原因を見つけ出し、その場で解決できるように対処します。不具合の内容によって、どうしても時間がかかる場合はご説明した上で、後日対応させていただきます。

これまでも女性のお客さまのところに、私が訪問すると喜んでくださいました。女性同士ですと話もしやすいですし、お部屋の中に入っても安心なのだと感じました。そこで女性の電気工事士が女性目線に立ったサービスを手がけるのも面白いのではないかと思い、国の補助金制度を活用して立ち上げの準備を進め、私を含めてスタッフ3人で昨年9月からスタートしました。

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反響はいかがでしたか?

サービス内容をお知らせするチラシを作成し、配布したほか、地元のメディアでも取り上げてくださったため、もともとの得意先だけでなく、新規のお客さまからもたくさんの依頼や問い合わせがありました。お急ぎのお客さまへの対応が主体ですので、事務所から30分圏内で到着できる場所がおおよそのエリアと考えています。県外からもお声がかかることもあり、残念ながらお受けすることはできませんが、予想以上の反響に驚いています。開始から1年ほど経ちますが、約250件の依頼がありました。

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どのような依頼がありますか?

テレビやエアコン、照明器具など電化製品の不具合に関するものが多いですね。リモコンの電池が切れていたなど、すぐに解決できるものもあります。室内照明器具を天井に取り付けるためのシーリングや、古くなったコンセントが故障していることもあります。交換工事が必要になりますので、電気工事士でなければ作業できません。資格を持っていてよかったなと思うのはそんな時ですね。

これまでに印象的だったのは、お客さまから「なんとなく電気の調子が悪い」と連絡があり、かけつけてみると、電化製品自体には問題がなく、さらに原因を探るために分電盤の中を調べてみると、電線が焦げていました。それを見つけたときは事前に火災事故を防ぐことができ、電気の安全を守る立場としてお役に立つことができました。修繕工事を行い、お客さまにも感謝され、やりがいを実感しましたね。

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電気技術者を目指すきっかけは?

学生時代の専攻は英語科です。卒業後は損害保険会社に就職しましたが、結婚を機に退職しました。その後、夫が脱サラし、実家の電気工事会社に入社しました。現在、私が働いているのがその会社です。

ある日、お店番をしているとき、アンテナ線を買いにきたお客さまがいました。私はその線のことがわからず、電気工事で使うケーブルにもたくさんの用途と種類があることを知りました。それぐらいは知っておく必要があると実感し、電気工事士の資格取得の勉強を始めました。最初の頃は白熱球と蛍光灯の違いも分からなかったんですよ(笑)

技術系ではない中で、勉強は大変だったのでは?

地元の電気工事工業組合が主催する資格取得のための勉強会に参加しました。夜6時から9時まで、2週間通い続けました。家では朝5時に起きて、筆記試験の勉強や技能試験に備えたトレーニングをしていました。当時は子育て中でもあり、仕事と家事の合間に受験勉強をすることは大変でしたが、家族が協力してくれた分、絶対に合格したいと試験に臨み、1回で合格できました。その後、第一種にも挑戦しました。第一種の技能になると、扱うケーブルが太く、硬くなり、圧着ペンチを使った作業では力が必要になるので、苦労しましたが、無事に合格することができました。

資格取得のために学んだ知識や技術が役立ったことは?

私には娘が2人おりますが、2人とも高専在学中に第二種の資格を取得しました。娘たちに筆記や技能試験の対策を教えていると、『これは今も使っているな』とか、『この表は覚えていた方がいいな』と仕事で必要なことがわかっていたので、丁寧に教えられました。私が第一種を受験するときと、長女が第二種を受験した時期が重なりました。2人で夜遅くまで、台所のテーブルに向かい合って、電線の被覆をむいて結線の練習をしたことは忘れられない思い出です。

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今後の目標は? 

かけつけサービスを通じ、お客さまに喜んで頂ける電気工事をしながらも、女性としての気配りや優しさを出せたらいいですね。地域に密着した電気工事会社として、皆さまのお役に立てるよう、これからも経験を積み重ね、もっと技術を身に付けていきたいと考えています。夫は大きな現場や事前に予定している仕事を抱えていますので、お急ぎの依頼については代わりを務められればと思っています。

資格取得を目指す人に伝えたいことは?

普通の文系の主婦だった私にも取得できました。現在、女性スタッフの一人も一念発起して電気工事士の資格取得を目指しています。電気に少しでも興味を持てたら、ぜひ趣味の延長線上でもいいので、チャレンジしてほしいです。でもせっかく資格を取得したのなら、それを生かして電気工事の仕事に就いてほしいですね。そして現場で働く女性の工事士がこれからもっと増えていったら、さらにうれしいですね。

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