活躍する電気技術者達

「お客様から喜ばれる仕事を」
十手先を読む現場リーダーをめざす

活躍する電気技術者達
  • 中野 晶之さん
    増山電業株式会社(富山市)
  • <保有資格>
  • 第二種電気工事士(2017年度)

――これまでの経歴を聞かせてください。また、なぜ電気の道を志したのかも教えてください。

 当初は、親が教師ということもあって、ここ地元の富山大学で体育の教師を目指していましたが、いざ社会に出るときになって、「自分がやりたいことは何か」を改めて自問したとき、何かものを作る仕事に就きたいと考えが変わりました。小さいときから建物ができる過程を飽きずにじっと見ているのが好きな子供でした。
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 大学時代、アルバイトに向かう途中に富山大橋という大きな橋があり、入学間もない頃から改修工事をしていました。行くときには橋と一緒に立山連峰が見え、帰りは照明がほんのりと灯っており、「お疲れさま」と言われているような感じがして癒されていました。その改修工事で道路照明を手掛けた会社が増山電業だと知ったことがきっかけで、2017年に大学を卒業すると同時に今の会社に就職しました。

――第二種電気工事士を取得したきっかけは何ですか? また、資格取得には、どのように取り組まれましたか?

 二種を持っていれば低圧関係の仕事ができますし、案件の多い蛍光灯からLED照明への交換工事もできるので、会社から早く取得するように勧められました。入社した年の秋に資格を取得するまでは、現場に行って物を運んだり、清掃したりしながら、先輩たちの動きを見て効率よく作業することを学んでいました。
 会社は試験の準備に協力的で、資格を持っていない者には時間に余裕があるとき、先輩が実技指導をしてくれました。座学については会社から講習会に参加させてもらい、そのテキストを中心に勉強しました。4月に入社したばかりで、6月に筆記試験、7月に技能試験です。まだ電気のことをあまり分かっていないなか、先輩たちに助けてもらいました。休日は集中しやすいのでファミリーレストランに行ってテキストを勉強し、実技は会社の倉庫で練習しました。そのとき先輩から「形を作るだけなら誰でもできる。きれいに丁寧に仕上げることが大事」と言われたことは、いまでも強く印象に残っています。
 このように会社や先輩に協力していただいたおかげで、はじめての試験で合格することができ、その後講習を受講することで、認定電気工事従事者認定証の交付を受けました。

――工事士の試験勉強をしたことで実際の現場で役立っていることはありますか?

 単線結線図(電気回路の系統を単線で示した図面)を見て、頭の中だけで複線結線図を描くことができるようになりました。結線作業をするときに、わざわざ書き出さなくてもよく効率的なので、とても役立っています。また、実技練習のおかげで、電線の被覆をはぎ取る作業では、はぎ取り専用の工具を使わず、普通の電気工事用ナイフを使っても作業が早くなり実践に役立っています。

――いま手掛けている仕事の内容を教えてください。

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 富山市内の小学校の改修工事現場で、現場代理人と調整しながら電灯、コンセント、スイッチなどの低圧機器の取付工事や配線工事をしています。協力企業も入っているため、できる範囲で私も指示を出しています。いま25歳ですが、父親ぐらいの世代の人たちと接するため、あいさつや言葉遣いを気にかけながらコミュニケーションに努めています。現場ではスポーツのチームプレーのような意識も大切だと思うからです。若さは武器ですので、元気に明るく仕事が楽しくなるような雰囲気作りを心がけています。

――これまでで印象に残っている仕事、現場を教えてください。  

 照明がちらついているので見てほしいといわれ、先輩に付いて初めて天井裏に上ったときのことです。夏場だったのですが、断熱材があるのでサウナより蒸し暑くて、びっくりしました。また、吹雪の中で屋外の作業をしたこともありました。雨や雪の日は、手足の指先が凍えてしまいモチベーションが下がります。でも、そういう時こそテンションをあげないとケガをしますので、部活の練習で辛かったときのことを思い出して乗り切っています。きついこともたくさんありますが、LED器具の交換工事できれいに取り付けられたときは気持ちがいいし嬉しいですね。内線工事が進むにつれて、どんどん形が出来上がっていくとやり甲斐を感じます。

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――なぜ、現場代理人を目指すのですか? どのような現場代理人になりたいと考えていますか?

 現場のリーダーとして工事の一から十までに携われるのが魅力です。いつか大きい現場で現場代理人を経験してみたいですね。この小学校の改修工事は現在が三期工事です。一期の工事で現場代理人を務めた先輩の机には、小学校の生徒さんから贈られた感謝状が置かれています。それを目にすると、いい仕事をしてお客さんが喜んでいる姿を見てみたいという気持ちになります。
 現場では予想通りにいかないことがたくさんあります。現場代理人の先輩は、どのような状況でも慌てず臨機応変に対応して現場がスムーズに動くようにしています。一手二手ではなくて、十手先を読んでいるようです。それでいて、作業員への気配りも忘れない。全体を見る能力がすごいです。将来、そのような現場代理人になるため、いまは指示待ちにならないように心がけ、翌日の作業内容については積極的に自分から提案するようにしています。

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――今後の目標を聞かせてください。また、これから資格を取ろうと考えている人たちに伝えたいことを教えてください。

 できるだけ早いうちに第一種電気工事士試験に合格したいと考えています。いつか公共施設の新築工事を手掛けたいですね。例えば、東京オリンピック関連施設のような、地図にも大きく残るようなものに携わることが目標です。そのためには、まだ実際にやったことのない作業が山ほどあるので、先輩に教えてもらいながらどんどん吸収していきたいです。資格を取るには、できるだけ若い方がいいと思います。記憶力もありますし自由な時間をつくりやすいからです。前向きに取り組むには、やはり若さと体力は武器になると思います。