活躍する電気技術者達

女性の技術系(現場)社員第一号
資格取得はお客さまの安心感に

活躍する電気技術者達
  • 河﨑美智代さん
    株式会社 四電工(香川県高松市)
    エコソリューション部
    再生エネルギー推進課長
  • <保有資格>
  • 第三種電気主任技術者(1997年度)
    第二種電気工事士(1993年度)

――現場における女性初の技術系社員と伺いましたが?

 大学の専攻は電気とは全く畑の違う経営工学でしたが、香川県出身で、地元で働きたいと考え今の会社を志望しました。入社試験は設計希望で応募しました。入社後の配属は香川支店設備工事部で、女性の技術系(現場)社員第一号ということになりました。
 自宅からも近い31階建てマンションの建設現場に、電気設備の現場代理人見習いとして配属され、先輩の現場代理人から指導を受けながら、施工図の作成や材料の手配、点灯試験といった業務に携わったのが会社生活の始まりです。
 入社当時、電気の知識は中学・高校レベルだったかもしれません。入社してすぐに第二種電気工事士の受験を目指して勉強し、資格を取得しました。配属先の上司が資格の取得に積極的で、同僚も資格に挑戦していたことや、電気の知識を得る目的もあって、第三種電気主任技術者の資格も取得しました。

――入社後の担当業務を教えてください。また、印象に残る仕事はありますか?

 入社以来14年間、電気設備工事の現場代理人を経験しました。初めて大型新築物件の電気工事で現場代理人を務めた際には、デパートなども入居する複合施設だったこともあり、他業種の現場代理人もたくさん現場に入っていました。
 当時は若く融通が利かないこともあって、現場の段取りや調整などで衝突してしまうこともありましたが、その都度意見をぶつけ合ううちに、お互い打ち解けることができ、その後の人脈が広がるきっかけにもなりました。

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――現場代理人のほかには、どのような業務を経験されてきましたか?

 現場代理人を経て、電力会社に4年間出向した際には、電気の知識を活かせる業務として、お客さまの設備のエネルギー診断や省エネルギー提案業務に携わりました。この経験は、いまの担当業務の一つでもある照明改修などの省エネ提案にも活かされていると思います。
 現在は、主に大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設に関係する設計・積算・設計管理を担当しています。設計・積算といった机上業務だけではなく、設備の調査や打ち合わせのため現場に赴くこともあります。
 太陽光発電設備の多くは、20年間の長期にわたって電気の買い取りを保証された設備です。このため、長期間にわたり、安心して発電を続けられるような、しっかりした設備を提案することを心がけています。

――第三種電気主任技術者の資格も取得していますが、資格を保有していることで仕事が円滑に進んだエピソードなどはありますか? 活躍する電気技術者達

 電気工事会社はもともと男性の多い職場ですが、私が入社した頃は今と比べると本当に女性が少ない職種でした。
 小柄で幼く見られがちだったこともあって、20代の頃に現場の打ち合わせに1人で向かったときなどは、お客さまが心配そうな様子をされることもありました。初対面の方に「何か資格を持っていますか?」と聞かれたこともあります。そんなときに「第三種電気主任技術者を取得しています」とご説明することで、お客さまに安心感や信頼感を持っていただけた場面はあったと感じます。

――そのほか、資格取得で得た知識・技術が業務で役立ったと感じたことはありますか?

 電気主任技術者の試験に合格したことは、その後の業務に取り組む上でも大きな自信になりました。資格取得に向けた勉強は大変でしたが、その経験が知識の蓄積につながり、実務にも大きく役立っています。例えば、太陽光発電所の工事計画の策定や各種の申請業務などの場面で、電気に関する知識がバックボーンとしてあることが支えとなって、仕事を円滑に進めることができたと思います。
 また、さまざまな業務を担当する中で、建築設備士やエネルギー管理士など別の業務で必要となった資格を取得する際にも、電気主任技術者の試験に合格できたという経験や自信が活かされたと考えています。

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――現在は管理職として職場を引っ張る立場ですが、職場で力を入れて取り組んでいることは何ですか?

 ここ数年、当社も女性の技術系社員を積極的に採用するようになっています。社内にも女性の技術者が増えてきました。現場でともに働く先輩として、また電気技術者として身近な目標となれるように、私自身も日々の業務に取り組む中で成長していきたいと考えています。
 また、若手技術者の育成はもちろんですが、中堅技術者のさらなるステップアップを支援する取り組みにも力を入れています。会社の中核として活躍する中堅技術者には、専門的学識だけでなく、問題解決やマネジメントといった資質・能力を身につけてほしいと考えており、そうした視点から指導にも取り組んでいきたいです。
 電気工事会社は人材と技術力が大切な経営資源となります。会社の経営理念にもあるように、電気に関わる仕事を通じて、ゆとりと潤いのある「豊かな生活空間づくり」に貢献していきたいと考えています。

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――電気の専門家として、仕事にやりがいを感じるのはどのようなときですか?

 一番のやりがいは、何といっても自分が手がけた電気設備が完成し、お客さまから喜びの声をいただいたときです。
 電気設備は長い期間使用されるものであるため、完成後もお客さまとはメンテナンスなどで長くお付き合いすることになります。設備が完成したら終わりということではなく、何か相談事があれば気軽に声をかけていただけるような、身近な電気の専門家として信頼いただけるように心がけていきたいと考えています。

――これから資格の取得を目指す人や、後進に伝えたいことはありますか?

 電気設備に関係する仕事は、さまざまな資格が必要となる分野です。会社で業務をしながら資格取得の勉強をするのは大変ですが、新しい知識を習得するチャンスだともいえます。
 実務の上でも、試験の勉強で得た知識や経験が役に立つのはもちろん、私自身もさまざまな業務に取り組む機会が増えるなど、働きがいにもつながっています。これから資格取得に挑戦しようという皆さんには、自分を磨く意味でも是非がんばっていただきたいと思います。