活躍する電気技術者達

資格を活かし新規ビジネス開発で活躍
電験の知識が実務を理解するベースに

活躍する電気技術者達
  • 大久保誠さん
    株式会社エネゲート
    研究開発部新規ビジネス検討チーム
  • <保有資格>
  • 第三種電気主任技術者(2014年度)

――会社の事業概要と、今の仕事の内容を教えてください。

わが社では、発電から変電、送配電にわたる電力システム向けの監視・制御機器や受配電設備、また変圧変流器や家庭用のスマートメーターなどを開発・製造しています。そのほかHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)やBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)などのエネルギー管理システム、電気自動車(EV)向け充電(認証・課金)システムを手掛けるなど、エネルギー事業を支え、電力の安定供給に貢献する製品やサービスを展開しています。
いまの仕事は、既存の枠にとらわれない新しい製品やサービスを開発することに取り組んでいます。AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ブロックチェーンなどの最新技術を踏まえたサービスが、どのような分野で必要とされているかのリサーチなども行っています。

――新規ビジネスを検討するうえで、資格がどのように役立っていますか。

活躍する電気技術者達 より良い製品を開発するためには、自社製品を理解することが大切だと思っています。その知識のベースとして、電気主任技術者試験(電験)の勉強はたいへん有用でした。特に、以前担当していたインバータ電源装置の開発には、制御工学・電力工学・電子回路技術などの様々なパワーエレクトロニクスと呼ばれる技術が用いられます。装置の小型・高効率化を実現するためには、熱力学・電子材料・流体・構造解析の知識も必要で、電験の範囲と重なる部分が多くあったため試験を受けるモチベーションの維持にもつながりました。
大学時代に学んだことはアカデミックになり過ぎ、仕事に関わる分野に比べて勉強の幅が広すぎます。実際に仕事で使うとなると、押さえるべき知識として、より的確でベースとなる知識に直接結びついているのが電験の勉強でした。

――これまでを振り返って、印象に残っている仕事はなんでしょうか。

入社7年目になりますが、6年間は電源装置の研究・開発に携わっていました。印象に残っている仕事は自分が初めて開発を任されたインバータ電源装置の開発です。回路設計からプログラミングまで一貫して取り組みました。製品が無事に完成して出荷されたときは、とても嬉しかったです。幅広い知識や技術の習得には苦労しましたが、先輩たちのサポートを得て実現できました。また、その知識を理解するうえで電験での受験勉強はたいへん役立ちました。
また、現在は勤務する千里丘事業所で電気主任技術者補佐を務めていますが、事業所では、制御機器、変圧器、計測システムの生産ラインから研究開発、事務部門まで500人以上が働いています。設備導入などの際、停電させる作業を行いますが、自分ひとりの手で事業所全体の電気を停止させるというのは、責任ある仕事を任せられていると実感しています。同時に、実際に設備の試験運用の検討や設備を操作することで、設備を運用する側の立場を知ることにもつながっています。電気主任技術者の資格を取ったからできていることです。

活躍する電気技術者達

――電気技術者を目指したきっかけを教えてください。

もともと、ものづくりに関わりたいと思っていました。その中で社会のインフラに関わる電気設備を作っているということで、この会社に入社しました。わが社は配電設備に関係する製品やサービスを提供していることもあり、若手に電験の資格取得を奨励していて、2週間に1回のペースで講師を招いて勉強会を開いてくれました。1年の期間でしたが、普段は予習と復習を継続的に行い、最後の1カ月はラストスパートで取り組みました。比較的、勉強が仕事につながっていたので、あまり大変な感じでもなく、モチベーションを保つにも苦労はありませんでした。

活躍する電気技術者達

――今後の目標を教えてください。

エネルギーのあり方に対する関心が高まる中、多様なエネルギー源が求められるようになっています。新たな技術を取り入れながら社会に必要とされる、低炭素社会に貢献できるエネルギーシステムを提供していきたいです。電気は生活するうえで欠かせないものであるだけにやり甲斐があります。より幅広く高度な知識を身につけることが、より良い製品を作るうえで広く汎用的に役に立つと考えています。そのため、今後は第2種電気主任技術者の資格取得を目指そうと思います。

――最後に、これから資格を取得しようと考えている人に伝えたいことを聞かせてください。

勉強という意味ではモチベーションを保つことがカギになると思います。資格を取得することの目的は人それぞれで異なると思いますが、電験の資格取得で得られる電気に関する知識は幅広く応用できます。将来をしっかり考えて目標をイメージしながら取り組んでほしいと思います。