活躍する電気技術者達

適切な設備管理で
利用者に快適な駅を

活躍する電気技術者達
  • 酒井 信一さん
    京浜急行電鉄 株式会社
    鉄道本部 施設部
    電力課 金沢文庫電力区 班長
  • <保有資格>
    第2種電気工事士(2003年)

――鉄道会社の中で、電気技術者としてどのようなお仕事を?

当社の電気系の部門として、鉄道に関連する電気設備を担当する電力区、大型の変電設備を担当する変電区、信号系や通信系の設備を担当する通信区があり、その中で私は電力区に所属しています。電力区は大きく2つに分かれていて、私の所属する金沢文庫電力区は金沢文庫駅を拠点に、京急の南側約半分を担当しています。電力区の中には電力班と設備班と呼ばれる2つのグループがあり、電力班は電車の動力用の設備を担当し、設備班は主に駅舎の照明、コンセント、分電盤などを扱い、私はその設備班の班長を務めています。
例えば最近は、照明のLED化を各所で進めています。京急は海の近くを走るところが多く、塩害で腐食しやすいためホームの照明器具は独特の取り付け方法を採用しており、それを考慮したやり方で更新していく必要があります。また、初期に導入したLEDがそろそろ寿命を迎えるのですが、LEDの故障の仕方はまだ知見が十分そろっていないので、今後対応を考えていかなければなりません。

――これまでの経歴は?

工業高校時代は電子科で、重なる部分はありますが今の仕事とは少し違う内容を勉強していました。ただ、機械も好きで、京急に入るときには自動改札などを扱ってみたいという気持ちがありました。
入社してからは電力班で、電車線のメンテナンスに携わっていた期間が長いです。自動改札も少しだけ経験しましたが、現在ではその方面の業務はグループ会社に移管されています。最近までは本社内の電力課で約2年、照明LED化を含む設備更新の設計・計画などの仕事をしていました。設備班の班長になってからはまだ3カ月ほどです。

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――仕事の中で大変なことや心がけていることは?

何より安全第一が使命です。漏電などがあれば事故につながりかねず、お客さまも我々職員もケガなどすることがないよう、設備の状態を保たなければなりません。担当する設備は無数にあり、班は私と班員4人で人手は限られますが、一つでも不具合個所を減らすのが仕事です。
そのためにも、定期点検などを計画的に行い、故障する前に古い設備から順に改修や更新していく必要があります。久しぶりに現場に戻ってきて、そうした設備の状況をまとめているところです。
それから、私は今回初めて班長になりました。時には皆で協力しないと作業が終えられないこともあります。うまく情報交換しながら仕事ができるようにしたいと思っています。特に、後輩から聞かれたことなどには、小さいことでもしっかりアドバイスするよう心がけています。

――電気技術者として、これまでに印象に残っていることはありますか?

発見が難しい不具合や原因をなんとか見つけて、直すことができたりすると印象に残りますね。
例えば、保線作業などで使うコンセントがたくさんあるのですが、そのなかに、ある信号の電源として使用しているものがありました。そこに、なぜか分からないのですが、一時的に電気が来なくなることが起きた場面に対応したことがあります。非常にたくさんの設備の中から原因を特定しなければならないのですが、慎重に作業を進めていくと、あるコンセントのふたを閉めたときに、一瞬だけ振動で信号が光りました。それで、1カ所の端子のネジがゆるんでいたのを見つけることができ、不具合を解消することができました。このことはよく覚えています。

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――電気工事士の資格はいつごろ、どのような経緯で取得されましたか?

合格したのは2003年、入社9年目だったと思います。社内の講習会で勉強した後、受験しました。とはいっても、それまでに電気工事士の監督・指示の下で作業を経験しており、知識や技能はある程度身についていたので、それほど大変ではなかったと思います。ただ、資格を得たことはそれまでの仕事の成果として自信になりました。
そういう経緯なので、電気工事士のために勉強したことが現場で生きた、というよりは、現場で学んだことが電気工事士試験で生きた、という感じだと思います。むしろ本社の電力課にいたとき、設備計画のために配線図や回路図を読み取る必要がある場面などで、勉強が役に立ちました。

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――今後の目標や、これから電気工事士を目指す人へのアドバイスがありましたらお願いします。

この先、機会があれば第1種電気工事士も受けてみたいですね。実は部下にも取得している人がいるので、負けられないという気持ちもあります。
これから電気工事士になる人には、資格取得のための知識ももちろん大事ですが、仕事をして初めてわかってくることもあります。そういう経験も大事にしてほしいと思います。

( 内容は、2015年12月末時点の所属・役職に基づくものです)

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