活躍する電気技術者達

お客さまの設備を守るために、
もっと勉強したい

活躍する電気技術者達
  • 荒木 瞳さん
    一般財団法人 関東電気保安協会
    多摩事業本部 国分寺事業所 電気保安2課
  • <保有資格>
  • 第3種電気主任技術者(2013年)
    第2種電気工事士(2013年)

――お仕事の内容は?

当協会には、主に調査業務と保安業務の2種類の仕事があります。
調査業務は、電力会社の委託を受けて、ご家庭などの電気設備を4年に1回、定期的に調査します。具体的には、漏電の有無や分電盤に故障がないかなど、電気設備が安全基準を満たしているかの点検をします。
保安業務では、工場やビルといった自家用電気工作物を持つお客さまから委託を受け、電気設備の保安管理などを行います。本来、自家用電気工作物の設置者が保安規程の制定や電気主任技術者の選任を行う必要がありますが、保安協会では保安規程の制定や各種届出のお手伝いをしたり、月次・年次点検の実施、電気事故対応を行います。
定期採用者はまず調査業務を2~3年経験し、その後保安業務に異動します。私も半年ほど前から保安業務に携わっています。

――現在は具体的にどんなことをされていますか?

検査員補という立場で、現在はお客さまの電気設備の年次点検に携わり、実務経験を積んでいる段階です。
年次点検では設備を停電して点検や測定、試験を行います。お客さまの業務時間中はなかなか電気を止められないので、必然的に休日や深夜、早朝などが忙しくなります。事業所に泊まることもありますが、そこは女性だからといって特別扱いせず、周囲の男性と同じようにしてもらっています。

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――仕事の中で大変なことや、楽しいと感じることは?

保安業務は現場によって設備も違うしお客さまのニーズも違う、停電しておける時間も限られている。まだ保安管理業務の基本的なことを勉強している中で、思ったように動けていないと感じることはよくあります。
ただ、調査業務は基本的に自分一人で行動しますが、保安業務はチームで動きます。年代が違う様々な人と話ができたり、疑問点があったらその場で聞くことができたりするのは楽しいです。
以前、事故対応に同行したときのことです。コンセントが一つ使えなくなったのですが、建物の増設などで設備も図面も複雑化して、原因がなかなかわからない。実際は配線図が間違っていて全然違う方向で漏電していたのですが、ちょっとしたきっかけで検査員が「わかった」と言ったかと思うと、あっという間に原因を特定して対応してしまいました。設備への理解とこれまでの経験が組み合わさってお客さまの要望に応える、その様子を見て「これが技術者だ」と実感しました。

――仕事の中で、電験3種を取るために勉強したことは役に立っていますか?

そうですね。保安業務はまさに電気主任技術者の仕事ですし、特に法規科目の内容などはまさに業務内容に重なります。理論科目で覚えた計算式を現場で使ったりすることもあります。
とはいえ、現場と机上の勉強では違う部分もやはりあります。仕事の中でもっと勉強しなければいけないと思いますし、第2種電気主任技術者やエネルギー管理士、電気工事施工管理技士など、別の資格の勉強もしていきたいと思っています。

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――電験3種の合格までの経緯は?

大学では電気専攻だったのですが、保安協会への就職が決まった後、在学中に試しに1度受験し、歯が立たずに全科目不合格でした。
保安協会では定期採用者が電験3種に合格できるよう、いろいろとサポート体制を整えています。各科目毎月1回、受験者が集まって講師に教えてもらう通称「スクーリング」を行っているほか、職場にも合格者や受験仲間がいて、いろいろ教えてもらえます。しかし、1年目は2科目合格を目指して理論と電力を重点的に勉強したのですが、社会人生活に慣れなかったこともあり、理論の1科目合格にとどまりました。
2年目はもう取らなきゃいけない、来年はもう受けたくないという気持ちで勉強しました。参考書を読んだら基本問題をまず全部やって、それができたら15年分の過去問を できるようになるまで解きました。結果、残った3科目に合格し、3年がかりで資格を取得することができました。前年に一通り勉強していたおかげで理解がしやすかったこと、時間をうまく使えて勉強時間をとりやすかったことが良かったと思います。

――将来の目標は?

先輩方のように、お客さまから信頼され、相談されるような検査員になりたいです。
大学で就職を考え始めた頃、東日本大震災がありました。計画停電などを経験して「電気にこんなにお世話になっていたんだ」と実感し、それを支える役割をしてみたいと考えました。電気は普通に使えるのが当たり前ですが、その当たり前を支えるのが難し い。色々な人が支えている、その中の一人でありたいと思います。

( 内容は、2015年12月末時点の所属・役職に基づくものです)

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