活躍する電気技術者達

知識を活かして展示会をサポート
異業種から電気の世界へ

活躍する電気技術者達
  • 今井 菜穂さん
    飯田電機工業株式会社
    イベント事業本部 経理部 主任
  • <保有資格>
  • 第1種電気工事士(試験合格年:2011年)
    第2種電気工事士(試験合格年:2008年)

――仕事内容は?

入社以来、展示会やイベントなどで電気設備の工事に携わっています。ビルや建物などで長期に使用される電気設備の工事もありますが、私の場合、東京ビッグサイトや幕張メッセといった展示会場、さらにはクリスマスシーズンにおけるイルミネーションの設営などの業務が中心になります。イベントが終われば設備を撤去し、次の仕事に移ることになります。
現在の担当は、電気工事の管理業務になります。作業現場の管理者として展示会場などにおける現場技術者の手配、工程管理、材料や部材の発注、指示出しなどです。また展示会の主催者と、展示会に出展するお客様の間に入って調整を行い、現場技術者に仕事内容を橋渡ししています。経理業務として見積書や請求書の作成も行いますが、その内容の問い合わせについても対応しています。

――異業種からの転職と聞きました。資格取得に挑戦することになった経緯について教えてください。

入社してまもなく10年を迎えますが、学生時代は人間社会学部という文系の学部に所属していました。また以前は物流業界で働いていました。生粋の文系であることから仕事についていけるかが心配でした。そこで自分自身に自信をつけることや、会社に貢献したいという思いから資格の取得を考え始めました。当然のことですが、現場に出るには電気工事の資格が必要です。会社全体で資格取得を推奨していることもあり、会社主催の講習会に参加し、第2種電気工事士の試験に挑みました。理科や物理が苦手なので、「合格は厳しいかな?」と思ったのですが、勉強をしてみると意外に順調で技能試験も含めて合格でき、「電気技術者」としての一歩を踏み出しました。そして、スキルアップなどを目的に第1種電気工事士にも挑戦しました。しかし、この資格は第2種電気工事士試験とは比べものにならないぐらい難しかったです。出題範囲の広さに加えて、技能試験に使われる器具や材料の取り扱いに手間取り、1回目は不合格となりました。その後は「2度目の失敗は許されない」という気持ちで、筆記試験の対策として過去の問題をひたすら解きました。また技能試験への準備として、手を動かすことに重点を置いたことで、器具や材料の取り扱いがスムーズになりました。その結果、合格することができました。

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――資格を取り、業務にどのように活かしていますか?

資格を取ったことで、電気工事の仕事をイメージしやすくなりました。また電気について詳しくないお客様の質問の意図を理解できるようになりました。
展示会に出展するお客様には外資系の方々もいます。外国製品を展示ブースで利用するために必要な電気容量やコンセントの設置場所、また、製品を照らす照明器具等の個数によっても必要となる電気容量は異なります。
お客様の要望をお伺いしてそれに対する電気工事の内容を洗い出し、現場技術者へ何をいつまでにやらなければならないか、作業ごとに工程表に落とし込んでいきます。もちろん上司の意見や助言、現場技術者の意見を元に最適な手順や方法を決めます。
お客様に必要な工事費用を提示した際、明細書に書かれた内容に疑問を感じれば指摘を受けます。例えば、「100ボルト設備電力」と書かれてもお客様は何に該当するか分からないことが多いのです。お客様の製品を出展ブースで利用するには、電源を引き込む必要があり、そのための設備の工事のことであることを丁寧に説明すれば納得してもらえます。電気に詳しくないお客様は、電気について何から質問すれば良いのか分からないことが多いです。資格取得の経験を通じて、お客様の視点に立った説明ができるようになりました。

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――仕事でのやりがいや、日頃から心がけていることは?

「安全が第一」の仕事ですので、何事もなく無事に展示会が終わった時は安堵感や達成感があります。また電気工事の管理業務は、作業現場との調整が重要です。そのため、つつがなく対応できた時にやりがいを感じます。それは、展示会の主催者や展示会に出展しているお客様の要望を受け、現場技術者に仕事の指示を出し、その内容を説明して動いてもらうわけですが、現場技術者は長年現場に携わってきた職人ばかりで、経験も知識もはるかに私より上です。現場のことを一番よく理解しています。キャリアも浅い年下に指示を受けることに抵抗を感じるかもしれませんが、説明の仕方や言葉の使い方ひとつで受け捉えられ方は変わります。現場技術者を尊び、現場作業がスムーズに行くよう心がけています。

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――目標としている技術者像を教えてください。

目標としている技術者は電気工事に精通し、経理業務も経験した管理部門の上司です。
クレームやトラブルなどが発生しても的確に状況を判断し、指示を出してくれます。
素早く対応するためには、電気工事現場での経験が豊富でなければなりません。問題が発生してから調べているようではお客様にも迷惑をかけます。上司のように経験や知識を高め、問題が発生したら最適な判断ができるような技術者になりたいと思います。
また、経理に関わる仕事を一通り経験してみたいです。会社の業務は一つだけではありません。入金チェック、材料費の支払い、人件費の計算などと続いていきます。一通りの流れを経験することで仕事の前後から全体が見え、各部署の考え方が分かるようになると思います。また、資格で得た知識が活かせると思います。